習い事教室が生徒募集をする際に知っておきたい基礎知識「集客とは」
生徒ドットコム特集|習い事の生徒募集のコツ
基礎知識 編 | 集客とは何か
習い事や教室などのスクールビジネスをはじめたものの、「集客がうまくできずなかなか売上が上がらない」という悩みを抱えている経営者もいると思います。そんな時、Googleで「集客」と入力して検索した経験はありませんか?
大きい企業なら専門家を採用して集客活動を行いますが、小規模事業者の場合はそんな余裕がないと思います。「マーケティング」と書かれた本をアマゾンで買ったけど読んでもどこがポイントだか分からないことだらけ、概念はなんとなくつかめているが失敗しないか不安、生徒が集まるか心配、教育にマーケティングを取り入れることに対してモヤモヤする、保護者が教室をどう受け止めるのか気がかかりだったり・・・。悩みは尽きません。そこで、「集客」について、押さえておきたい基礎知識を分かりやすくお伝えします。
①集客の概要
集客とは「客を集めること。また、客が集まること」。英語で表現すると「attracting customers」です。そして「集客」を知るうえで欠かせないのが「マーケティング」の概念です。
「集客」は「マーケティング活動」の一部分です。マーケティングの全体像を俯瞰した上で、「集客」にアプローチする思考にチャレンジしましょう。
スクールビジネスにおけるマーケティング活動を簡単に説明すると、
- 保護者や子供のニーズを的確につかんで、
- カリキュラムや教育プログラムなどの計画を立て、
- 最も有利な認知経路(サイトやSNS、チラシなど)を選ぶとともに、
- 体験会や説明会などの販売促進に関する努力により、
- 生徒の増加と、オンライン学習などの新たな市場開発を図り、
- 最終的には教育目標を達成する
以上の一連の活動だと定義できます。
マーケティングのなかで、改めて「集客」を位置付けると、上記の①②③(+④)と考えます。マーケティングを実践するには、心理学、数学、社会学、経済学、デジタルノウハウ等様々な知識の上から成り立つ高度な知識やスキルが必要となります。
②マーケティングの歴史と経緯
マーケティングの定義と歴史を1分で振り返ります。1937 年に設立されたアメリカマーケティング協会(AMA)は、何度かマーケティングの定義の改定を行っていますが、直近では2013年に「マーケティングは、顧客、クライアント(サービスの顧客)、パートナー、および社会全体に対し価値をもつ提供物を創造、伝達、配分、交換するための活動、一連の機関、そしてプロセスである」と定義しています。少し難しいですね。
また現代マーケティングの第一人者として知られ「マーケティングの神様」と評されるフィリップ・コトラー教授によると以下のように説明しています。「マーケティングの基本となる最も重要な概念は、人間のニーズである」「マーケティングとは経営そのもので、消費者に自社を愛してもらうことが最終的なゴールだ」。とても分かりやすいですね。
アメリカマーケティング協会やコトラーが語るマーケティングは本質ではありますが、やや広くて深い海のような話です。集客はもう少し狭いです。一文章で言えば以下の通りです。
”自社の教育プログラムを受ける可能性のある顧客候補(保護者やこども)に対してブランディング(テレビCMや新聞、看板)やマーケティング・コミュニケーション等(ホームページやSNSやチラシ・ポスティングでの情報発信、説明会や体験会等の開催)を通じて入会を働きかける行為。マーケティング活動の一環でもある”
③マーケティングと集客の仕組み
マーケティングや集客の仕組みを知るには、「カスタマージャーニー」と「マーケティングファネル」を学ぶことです。
お客様が教室に入会するまでの流れを顧客視点で考えるのが「カスタマージャーニー」です。このカスタマージャーニーを事業者である教室運営責任者の視点から見た施策が「マーケティングファネル」です。これらは表裏一体ですが、最初は「カスタマー」から考えるのが大切です。
「カスタマージャーニー」
カスタマージャーニーとは直訳すると「顧客の旅」です。想定しているお客様(マーケティング用語ではペルソナと言います)の動き(行動・思考・感情)を時系列で把握するために可視化したものです。ペルソナの動きを可視化することで、教室運営責任者は、顧客候補とのタッチポイントを洗い出し、適切な場所やタイミングで適切な情報を伝えることが計画できるようになります。
- [情報収集]ママ友の口コミなどにより潜在的なニーズはあるが、まだ漠然と情報収集をしている状態。正直、まだよくわからない段階。
- [課題発見]子供の将来像を考えたり、いまの家庭環境を振り返り、具体的な課題やポイントが見つかり、その解決方法を探している状態。子どもに身につけさせたいスキルとは何かを検討したり、通学の時間、子どもの不向きなどについて迷っている段階。
- [解決策発見]スクールの教育領域の知識を得て、その情報収集を始めた状態。どのような仕組みになっているのか、どのような特色があるのか、教育目標はどこにあるのか?などを把握した段階。
- [比較検討]あなたの教室を知っているが、他の教室と迷っている状態。判断のための基準をつくり比較検討している状態。深い理解を得ようと努力している段階。
- [判断]入会した状態。
「マーケティングファネル」
ファネルとは「漏斗」です。広く見込み客を集客したうえで(チラシ、ホームページ、SNS)、ふるいにかけられた見込み顧客が検討(体験会や説明会)、そして成約(入会)へ流れる中で段々と少数になっていく様(さま)。その様を図にすると、漏斗で濾した様子に似ています。一般的には、商品・サービスの購買過程をフェーズ分けしたものをモデル化したものです。
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[情報収集]ママ友の口コミなどにより潜在的なニーズはあるが、まだ漠然と情報収集をしている状態。正直、まだよくわからない段階。(例)折込配布やポスティング、ホームページでのコンテンツSEOや、リスティングなどのウエブ広告等→(解説)想定されるターゲットに対して自社を知ってもらうために行う「集客告知」
- [課題発見]子供の将来像を考えたり、いまの家庭環境を振り返り、具体的な課題やポイントが見つかり、その解決方法を探している状態。子どもに身につけさせたいスキルとは何かを検討したり、通学の時間、子どもの不向きなどについて迷っている段階。(例)資料送付や資料ダウンロード、メールアドレス登録など。→(解説)特定の見込み客に対して自社に興味を持ってもらうためにコンタクトを取る「リードジェネレーション」
- [解決策発見]スクールの教育領域の知識を得た状態。どのような仕組みになっているのか、どのような特色があるのか、教育目標はどこにあるのか?などを把握した段階。(例)ダイレクトメール、メールマガジン、LINE、FB等の継続的な情報発信。→(解説)特定の見込み客に対して継続的にコンタクトを取り育成する「リードナーチャリング」
- [比較検討]あなたの教室を知っているが、他の教室と迷っている状態。判断のための基準をつくり比較検討している状態。深い理解を得ようと努力している段階。(例)体験会・説明会・発表会等の企画・立案・運営。→<対応策>特定の見込み客に対して「納得感」を得られるような情報を提供する「顧客化・クロージング活動」
- [判断]入会した状態。
④集客に関するモニタリング指標
集客に関する活動をホームページに集約するとモニタリング指標を作ることが出来ます。徐々にコンバージョンである「新規入会」に向かっていくイメージです。なぜモニタリングするかというと、「改善」をするためです。最初の集客告知が最後の入会率につながるかもしれません。どこが悪かったのかを把握するためにモニタリングを行います。
また施策のPDCAを回していくときに大切なのが、これらの「量(数)」と「割合(レート)」です。私の感覚では、「量」を追いかけ、その後に「割合」を追いかけるという順番をお勧めます。理由は、「量」がないと検証が難しいからです。
- 流入元(認知)→集客告知
- 教室サイト全体へのアクセス(理解)
- コンバージョンページへのアクセス(興味・関心)
- お問い合わせページ(比較・検討)
- お問い合わせ人数(比較・検討)→リードジェネレーション
- 体験会や説明会への参加人数 →顧客化・クロージング活動
- 新規入会者数(購入)
- フォローアップ後の新規入会者数(購入)
- 退会者数(離脱)
- 今月の会員増(最重要KPI)
- 登録会員数(最重要KPI)
⑤マーケティングの目的とは「売れる仕組みをつくること」
マーケティング=販売促進=集客であると認識している方がいますが、それは誤解です。販売促進とは、ターゲット層に対して情報をどのように伝えて入会につなげるかを考え、実践する方法です。もちろんこれらの活動はマーケティング活動にも含まれますが、販売促進はクロージングの一部分です。
むしろマーケティングとは、販売促進活動に過度な手間をかけるのではなく、省エネを実践するためのものです。つまり「売れる仕組みをつくる」ことがマーケティング活動です。マーケティングのフレームワークとして、3C分析、4C分析、SWOT分析、STP分析、PEST分析、4P分析などたくさんあります。詳しくは改めて解説する予定ですが、大切なことはマーケティングとは「仕組みづく」であり、集客はその一部分であるということ。
つまり流れのなかで集客を考えないとやみくもにチラシを配布したり、むやみやたらにホームページのPVを追い求めたり、ブログで日記のようなコンテンツを出し続けたりする場合があります。気を付けましょう。
⑥集客方法
最初は、「ホームページ」や「ブログ」をつくってそこに生徒を集客します。いわばマーケティングのベース基地です
早速「教室のホームページ」(含むブログ)を立ち上げることが必要です。いまは無料で活用できるツールもたくさんあります。ベース基地であるホームページにどのようにお客さんを集めるのか?の戦略をっ考えることが、集客担当者の第一歩です。
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⑦参考文献|ノウハウと数字が満載!! 教室における生徒の集客に関する書籍の一覧
- ふつうの主婦が教室ビジネスでトップ1%になった秘密: 自宅の6畳1間で始めた教室が在籍生徒100人超え!小さくはじめてしっかり稼ぐ先生業4つのメソッド | 平塚 直美 | 在宅ワーク | Kindleストア | Amazon
- 生徒数を増やしたい教室の責任者が読む本:生徒数1.7倍を達成する集客法とそれを支える3つの考え方 | 岩前 しげる | メンタリング・コーチング | Kindleストア | Amazon
- 個人運営の子供英会話教室を月収30万円以上の中規模教室にするコツ | 藤田祐子 | マーケティング | Kindleストア | Amazon
- 英語スクール集客: だからあなたのスクールには生徒が来ない | おさち | ダイレクト・マーケティング | Kindleストア | Amazon
- Amazon.co.jp: 2年で53名の英会話教室を108名の教室に変えた方法 eBook: 長谷川 仁章: Kindleストア
- 数字で管理する教室ネット集客 | 鈴木貴之 | マーケティング | Kindleストア | Amazon
- 教室集客の為のブログ活用法 | 鈴木貴之 | マーケティング | Kindleストア | Amazon
- SNS時代における教室集客の為のクチコミ戦略 | 鈴木貴之 | 在宅ワーク | Kindleストア | Amazon
- 3つの仕組みであなたの教室集客は回る!: ~生徒集客で困らない教室づくりをする為の 10の集客ツール~ | 鈴木貴之 | 自己啓発 | Kindleストア | Amazon
- Amazon.co.jp: 教室開業・集客の教科書1 ~初めての開業&インターネット集客基本編~: 動画で学ぶ WEB初心者向け 失敗しない自宅起業バイブル 飛常識な未来デザイン eBook: 高橋 貴子: Kindleストア
- 音楽教室の始め方: 元銀行員であり、音楽教室経営者が教える「音楽教室を開きたい」という方へのサポートガイド | 安藤 聡 | ライティング | Kindleストア | Amazon
- 生徒に恵まれるスクール&教室 開業・経営バイブル | 佐藤仁 | 教育・学参・受験 | Kindleストア | Amazon
- スクール&教室運営のための「生徒集客バイブル」 | 佐藤 仁 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon
⑧まとめ
- 「集客」とは、「客を集めること。また、客が集まること」です。
- 「集客」を考える上で重要なのは「マーケティング」の一環として捉えることです。
- マーケティングや集客の仕組みを知るには、「カスタマージャーニー」と「マーケティングファネル」を学ぶことです。
- 「集客」に関するモニタリングは重要です。指標を作ってモニタリングしましょう。
- 「集客」の第一歩は「ホームページ」又は「ブログ」をつくることです
- 「集客」には、大きく分けてオンラインとオフラインの施策に分けることが出来ます。
⑨応用編:全体像をつかむ。3次元マップ
集客の極意は、顧客(どんなお客さんか)を見つめなおして、①ターゲットの属性(年齢、エリア、性別)、②カスタマージャーニー(どんな心情なのか)、③関心や悩み・問題点の範囲、以上3つを押さえることです。全体像の把握です。参考までに上記の3次元マップをご確認下さい。
その上で集客施策・方法の知識習得(ホームページのコンテンツSEOやローカルSEO、SNS、サイト掲載など)をすることが集客の近道です。小規模事業者であればあるほど、3次元マップのXYZ軸の狙いをはっきりさせて戦略を立てることをお勧めします。なんといっても他にもやることがたくさんあるでしょうから・・。
最後に私の頭のイメージイラストをシェアします。共感してもらえればシェアして下さい。
⑩おまけ:マーケティングファネルのエクセルデータ
マーケティングファネル×領域を検討するためのひな型をアップします。